★緊急告知: とっておきの「ポストカード」、できました。★

とっておきの連載コラムの、とっておきのポストカードができました。
(画像をクリックすると、大きなサイズでご覧になれます。)

     

6月20日から、以下の場所で無料配布しますので、お早めにどうぞ!
(申し訳ありませんが、初回配布分がなくなり次第、終了となります。)

★京都市、建築・まちづくり関係書籍の総本山 学芸出版社 受付にて

★梅田近くの中崎町へ、フランスからの世界のカケラ、ただ今到着 雑貨屋JAM POT
★同じく中崎町、写真展示から雑貨教室まで、多様な空間を提供 路地裏ギャラリーOne Plus 1
★大阪・天六にて文学・映画関連の古書を多数揃える、カフェバー ブックカフェワイルドバンチ

★大阪市立大学 工学部C棟 4階 エレベーターホール掲示板
★大阪市立大学 生活科学部S棟 3階 製図室前
★大阪大学 工学部S1棟 掲示板
★京都大学 工学部3号館 1階掲示板
★奈良女子大学 E棟5階
★近畿大学 本部キャンパス33号館(理工学部) 1階掲示板

★イタリア ローマ第三大学 建築学部 吹抜の横 (Via Madonna dei Monti 40 Roma 00184 Italia)
★オーストラリア メルボルン大学 建築学部棟 1階掲示板


連載 第3回 2006年6月号

召シマセ、世界のカケラ! 〜各都市でみられる食文化〜

今回のテーマは、「食」です。誰もが日常的に行なうことであり、また、特に現代人の生活においては、「五感を意識しうる」数少ない行為の1つではないでしょうか。都市の文化を反映する大きな要素であることは、まぎれもありません。食文化から見えてくるのは、各都市での伝統と革新、そしてそこに住む人々のこだわりです。
では、前菜はこの辺りで終わることとして、各ライターたちがさばいた今回のコラム、存分に味わっていただきましょう!

一級建築士事務所 スタジオOJMM
代表 牧尾晴喜



Like a Local@アムステルダム


松野早恵
オランダ
ユトレヒト
最近、アムステルダムに根づきつつある、家庭サイズの交流イベントがあります。「Like-a-Local」といって、「一見さんだって、地元人みたいに楽しみたい!」という旅行者の願いに応える企画です。インターネットを通じて登録した市内在住者が、自宅の食卓に初対面の客を招くのですが、国際都市アムステルダムでは、各家庭で準備されるメニューも様々。伝統的なオランダ料理に限らず、インド、インドネシア、イタリア料理など、工夫がいっぱいです。例えば、友人ダフネ(写真)は、ギリシャ、オーストラリア、ペルー、日本などに滞在した経験を生かして、個性的な創作料理を供しています。
見知らぬ街を歩いていて、「この家では、どんな風に生活しているのだろう」と、ふと思うことはありませんか。同じように、窓の外を眺める住人も、「今、家の前を通ったあの人は、どこから来たのだろう」と想像を巡らせたりします。「通りすがりの人」と「街に住まう人」が出会い、語らうことができる場として、Like-a-Localは外国人観光客だけでなく、オランダ人にも利用されています。そして、オランダ、スペイン、ポルトガルの主要都市を中心に、少しずつネットワークを広げているということです。



パスタに感じるノスタルジー

野村雅夫
イタリア
ローマ
大阪ドーナッツクラブ
イタリアにもグローバル化の波はひたひたと押し寄せていて、いろんなものが徐々にではあるが確実に均一化されつつある。しかし、そんな中でもイタリア人が頑なに守り抜いているものがある。その代表格が食だ。ここローマにもあまたの外国料理店が存在し、そこそこ客足も伸びてはいるようだが、この国の人たちはやはり最後にはイタリア料理が世界一だと異口同音に宣言する。序列をつけるのはどうかと思うけれど、確かにこちらの食文化の豊かさには舌を巻く。僕の場合、その巻いた舌でパスタに舌鼓を打つ。
パスタの魅力、独断で言わせてもられば、それは調理の手軽さとヴァリエーションの豊かさにある。まったく飽きない。おかげで日本料理もそこまで恋しくならない。
先日のことである。小腹が空いたので、天使の髪という小粋な名前のパスタで、シンプルなスープを作ることにした。玉葱と人参をとんとん刻み、コンソメで味を調え、極細の麺をゆでること3分。どこか懐かしい、いい香りだ。仕上げに卵を落として気がついた。これは紛れもなくチキンラーメンじゃないか。イタリアらしい食卓を演出するつもりが、皮肉にも日本食へのノスタルジーを掻き立てられる昼下がりとなった…



1食集中型


白アスパラガスと
シュニツェル(とんかつ)


ユゴさや香
ドイツ
フランクフルト
ドイツ料理を食べに行った時の事。牛豚鶏それぞれの肉の塊にソーセージとじゃがいも丸ごと3個が、圧倒的存在感を主張しつつ目の前に並んだ。すごい肉の量だが、これでもドイツの1人前。不味いわけではないが、あまりの肉肉しさに驚きを隠せなかった。
ドイツでは1日のうち1食だけ、ボリュームがある温かい食事をとる。普通は昼食がそれで、その量たるや冬眠前の熊もビックリの大増量。夕食はKaltesessen(冷たい食事)と呼ばれ、パンにハムやパテ、チーズなどの調理しない食事のみ。下手すると朝食の方が豪華だったりするのだ。
しかし、これはあくまで一般的なドイツ人の食事。ドイツに住む外国人なら、自炊すれば済む話。食料品が安価なので食費はかなり抑えられるし、ハムなどの肉加工食品、パンやチーズは種類もさまざま。肉も脂身の少ない赤身が多く、あっさりしたものが好きな私には嬉しい限り。環境に敏感なドイツではBioと呼ばれる有機栽培食品も豊富で、安全で質の良い食材が手に入りやすいのだ。今の時期、絶品なのが白アスパラ。これが店頭に並びだすと、春が来たなーっと実感する。食材に季節感があるのも魅力だ。



豪州伝統料理 Barbie(バービー)


海辺にもあります

寺西悦子
オーストラリア
ブリスベン
オーストラリアには、公園がたくさんある。その公園に必ずあるものは、もちろん芝生。その次にあるものといえば、BBQ(バーベキュー)用の設備かもしれない。ここクイーンズランド州では、無料で使用できBBQ台が公園に設置されている。以前は、コイン制にしていたこともあったようだが、お金を盗もうとした人が台を壊したりしたため、無料にしたとか。
オーストラリアの伝統料理は?とオーストラリア人に聞くと、「Barbie(BBQの略)」と返ってくるように、家族や友人などが集まる時には、BBQをすることが多い。ソーセージ、肉、玉ねぎなどは必ず登場してくる。私はこの前、お好み焼きに挑戦し、なかなか好評だった。焼きたいものを持って行くだけ、ボタン一押しで、手軽にBBQが楽しめる。このBBQ台、安全面にも配慮してあり、数十分で自動的に電源が切れるようになっているスグレモノでもある。使用後は、各自がきれいにして帰る。汚したままにしている場面は、まだみたことがない。明日は、先輩達の送別会でBarbieだ。




旅のスパイス

豊山亜希
インド
ムンバイー
(旧名ボンベイ)
19世紀にイギリス支配下で敷設、世界最大のネットワークを誇るインドの鉄道。一昼夜かかる移動もざらで、手持ち無沙汰になりそうなところ、日本の駅弁同様、移動を楽しくしてくれる食べ物に事欠きません。
チャーイやコーヒー、スープの売り子さんは走行中も定期的に回ってくれるし、お腹が空いたと思う頃合に停車駅に入る見事なタイミングで、体を伸ばしがてらホームの屋台を物色。定番メニューは、サモーサー(ポテトカレー入り揚げパイ)、プーリー(揚げパンの豆カレー添え)、ビリヤーニー(インド風炊き込みご飯)など、日本の駅でもビールとセットで売ったら流行りそうな(と個人的に思う)メニューがズラリ。
各地方でしか売っていない名産も多く、私が住むマハーラーシュトラ州は、ナッツをキャラメルで固めたチッキーというお菓子で有名。電車が州内に入ると、途端にチッキー売りのオッチャンが増殖し、「ああ帰ってきたなぁ」と感じさせられます。
最近では、民間会社の参入が相次ぐ空の旅が安く便利になってきたものの、食べる楽しみ、もとい、旅のロマンでは鉄道にかないません。




ネズミもネコもカタツムリも・・・


澤恵子
ガーナ
アクラ
アフリカ大学院留学記
ガーナの食文化は大変豊か。中でもフフと呼ばれる、キャッサバとプランテーンを茹でて、お餅をつくように杵でついたものは柔らかく、そしてほんのり甘くて日本人の口にも合います。おもしろいのはそのフフに付け合せるシチューの具。グラスカッターと呼ばれる大きいネズミの肉は鉄分がたっぷりで大人気。少しにおうのですが、トマト味のスープで煮ればおいしいネズミシチューの出来上がり。その他にカタツムリもシチューの具にしてしまいます。日本のものよりもだいぶ大きいカタツムリは食べ応えもあり、いいおかずになります。
一番驚いたご馳走はネコの丸焼き。ある日、友達の家を訪れた私。以前はそのお家にいたはずのネコの姿が見えません。「あれ?ネコはどこにいったの?」「今、君のために料理中だよ」「えっ!?」おもてなし料理として出されたのですが、そのままの姿で手足をピンと伸ばし丸焦げになっているネコを見て、さすがの私も絶句。丁重にお断りしました。愛猫家の皆さん、ネコだけはガーナに連れて行かない方がいいですよ。



Osaka and Food


Simon Nettle
日本
大阪
My Amazing Life
More often than not, when the defining features of 大阪 are discussed, food is almost always at the top of the list. Being a lover of diverse kinds of food, this was one of the things that, in my position of ignorance in Australia, excited me most about coming to live here. From my experience so far, I think this distinction must be purely historical, because レストラン throughout the country these days are, to me at least, essentially indistinguishable. I'm sure this statement will have some labeling me a philistine when it comes to food, but one must admit the Japanese are extremely conservative with regard to their tastes. The striking and appetizing displays of color and packaging-design on the supermarket shelves are an illusion masking the dearth of variety lurking below the surface.
I love 日本食. I love the association of freshness and the living (or previously living) nature of the animals with their quality and taste. At my local スーパーマーケット they have a video above the fish section, the likes of which would cause any self-respecting PETA to faint or at least blush, of tuna being caught and eviscerated. To me, this exemplifies a great attitude, and one of the refreshing aspects of Japanese 食文化.
While the invention of ショウユand ワサビ, and the idea of combining these with raw fish ranks possibly as Man's greatest culinary achievement, all good things are wearying in excess, and one yearns dearly for a more cosmopolitan menu. In the meantime, I am going to meditate on my new slogan "Fish are friends, AND food!".




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牧尾晴喜   harukimakio*aol.com
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