アサダワタル 日常再編集のための発明ノート

【日常再編集。再見!!】

寒竹泉美の月めくり本

師走本 :『幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい』 黒谷知也

野村雅夫 フィルム探偵捜査手帳

削いで削いで抽象化 ~メビウス~

真子 レシピでつながる世界の景色

南半球のクリスマスBBQ(タスマニア)

風戸紗帆 建築素人のデザイン体験記

京都精華大学で、とんぼ玉づくりを体験するの巻

インタビュー 金谷勉 さん

(聞き手/牧尾晴喜、原稿構成/風戸紗帆)

ラフィック、Web、プロダクト、プロデュース、飲食など活動の幅を広げて活躍しているクリエイティブディレクター、金谷勉さん。彼に、デザイン・プロダクトに対する姿勢についてお話をうかがった。

-------金谷さんが代表を務めるデザイン会社、セメントプロデュースデザインではさまざまなデザインを手がけておられますが、最近とくに多いのは、どのようなお仕事でしょうか?
金谷: 増えてきている仕事としては、製造業の人たちのスタートアップフォローのようなものが多いです。開発から商品を売るところまで、0を10にするような仕事をしています。たとえばパッケージのデザインなんかは、5とか6までできあがっているとして、それを10の価値設計するような仕事だと思うんです。僕たちは、何もないところから1にするキッカケをつくるということもしています。

-------たとえば、2013年にグッドデザイン賞を受賞された『サバエミミカキ』なんかも、0から1に近い感じですか。
金谷:そうですね。福井県鯖江市のメガネ素材の輸入販売業の会社との共同開発で、そちらでは元々、あのような素材の板を輸入されており、それを使って自分達でも試行錯誤していたようなんですが、なかなかすぐには売れなかったみたいです。僕たちの方でいろいろなアイデアを出させてもらって、最終的にできたこの商品『サバエミミカキ』なんです。メガネのテンプル部分には、中に金属素材の芯が入っていますが、その加工技術をそのまま活かして耳かきをつくっています。鯖江で生まれたものなので、『鯖江耳かき』と地名を入れました。「鯖江ってメガネで有名な場所なんじゃないの?」といったところもフックになって、気になりますしね(笑)。

-------静岡県熱海市の建具を製造する木工所と共同制作された、まな板の『face two face』なんかも面白いですよね。どのようにして誕生しましたか?
金谷:熱海は旅館が多い場所なので、主に旅館から仕事をもらっているという工務店や建具屋さんがたくさんあるんです。最近旅館が倒産するケースなんかも増えて、そういう人たちの仕事が連鎖して減ってきていたんです。そこで「何かできないか」って相談に来ていただきました。ここの建具屋さんでは板をまっすぐに切る機械しかなくて、曲線加工ができないんです。ヒノキをよく使われていたので、まな板をつくられていたのですが、「まな板」というだけではなかなか売れません。だから僕たちは、普通のまな板じゃないものということで、お洒落におもてなしができて、ギフトにもなる、まな板を考えました。両面が使えるんですが、片面はまな板として、もう片方の面には建具に使われているレーザー加工で表面にデザインを施してあって、盛りつけ皿にできるんです。盛りつけが苦手な人でも気軽に使えます。工場や現場に転がっている部品や残骸なんかから、アイデアが見つかったりするんです。このまな板のときは、そういうアイデアをスケッチで整理し直して、最終的に商品をつくりました。

-------セメントプロデュースデザインでは、グラフィック、Web、プロダクト、プロデュース、さらには飲食まで、さまざまなお仕事をされていますが、全体として向かっているビジョンについて教えていただけますでしょうか?
金谷:僕のなかでは、日本のGDP、国民総生産を上げるきっかけをデザインの力でつくれたらなと思ってます。日本の企業社数は386万社って言われているんですけど、そのなかで大企業と呼ばれる会社は1万社しかないんですよ。さらに、残りの385万社のうち、20人以下の会社が334万社です。ということは、この20人以下の会社が売り上げを上げないと国が良くならないのではないかなと思ってます。なぜなら、大企業の生産地、工場は日本にはないですから。だから、こういう中小企業の中で、ちょっとしたキッカケで売り上げを10%ずつ伸ばせる会社が1年間で10万社出たら、日本のGDPも変わってくると思っているんです。僕たちの会社はそういうことをしたいと考えていて。
 建築もデザインもインテリアも印刷の仕事もカメラマンも、日本の中でつくってる人と売ってる人がいて、例えば、たくさんつくって儲けた人がビル建てるとかするわけですね。そこに並走しているのがデザイナーの存在です。商品つくってない人がいきなり店舗つくってもそこに置く商品がないので、空っぽの店舗つくったって誰のPRにもなりません。デザイナーという職業はそういう人たちがいて仕事が成り立っているんじゃないかと。つくってる人、売ってる人が元気にならないと間接的にいろんな商売は元気にならないと思っています。

-------さまざまなお仕事をされているなかで、グッとくる瞬間はありますか?
金谷:たとえば先ほどお話したまな板の会社さんなんかは、今までは商品がなかったのでどこにも営業が行けなかったんです。ところが、あの商品ができたことで取引先が増え、星野リゾートさんのような著名企業とも関係ができました。1個のデザインがキッカケで、今まで知らなかった世界がどんどん広がっていって喜んでもらえるのは、僕らとしてはやりがいを感じるし、グッとくる瞬間です。大企業とのお仕事も嬉しいしありがたいですけれど、こんなふうに、相手も次のライフワークを見つけてくれるような仕事もいいですね。僕たちが1万社を同時に手伝うことはできないですけど、少しずつできればいいのかなと思っています。

-------子供の頃からを振り返って、今に繋がっていることとかありますか?
金谷:京都精華大学に入学して、ずいぶん変わりましたね。同級生に面白いひとも多かったし、学祭も楽しくて刺激的で、いろんなことを学ばせてもらったと思います。いま思えば、中学・高校って僕のなかではそれほど楽しめなかった、創造的には暗黒時代だったような気がします(笑)。高校とかでもいろいろチャンスはあったんでしょうけど、制約がかかる部分が多かったのもあって、そこまで考えられてなかったのかもしれないですね。小学校のときは普通にスポーツやって、中学も柔道部で、それなりに楽しかったけれど、今思えば可もなく不可もない少年期だったように思います。

-------来年の目標や、今後どのようなお仕事をしていきたいかをお聞かせください。
金谷:今までは開発したプロダクトを直接お客さんに買ってもらえる場所がなかったんですが、新宿の伊勢丹と青山に直営のお店ができました。自社の開発したものを何とかしたいと思う人がいらっしゃれば、そのお手伝いがしたいと僕は思っています。地方に行くと、素晴らしい技術をもっていてもその先へ行くためのルートがないっていう人たちがたくさんいて、そういう人たちと何か一緒にお仕事をしていけたらなと思っています。事務所が入っているビルの1階に飲食店ができたことも同じで、直接ユーザーの人とお付き合いできる場所ができたという意味でも、とてもいいなと思っています。



サバエミミカキ
 
face two face
フェイストゥーフェイス
Sサイズ tree
 
face two face
フェイストゥーフェイス
Lサイズ dish many
 
coto mono michi at TOKYO(コト・モノ・ミチ at TOKYO)
日本各地と協業し生まれたモノをはじめ、次世代の新しい日本を
感じるギフトや地域のモノ作りに携わる作り手の方々のギャラリーや
ショールームの場としても機能するショップ。
 
京町堀シモーネ
Farm to Table ~生産者とレストランを繋ぐ飲食店~をテーマに
地域の食材を仕入れてご提供する
 
金谷勉(かなや つとむ)

デザイン会社CEMENT PRODUCE DESIGN 代表兼クリエイティブディレクター。グラフィックデザインを中心に、各地方の職人さんとコラボをし、商品のプロダクトデザインを企画。その他、自社プロダクトの企画も行っている。

京都精華大学に入学し、学祭に衝撃を受ける。企画会社を志、自分企画書を作成して就活したのち、京都精華大学を卒業後、企画制作会社に入社。
その後、広告制作プロダクション「株式会社ズーム」へ。1999年には「CEMENT PRODUCE DESIGN」を設立。PARCOの広告デザインやUNIQLOとのコラボ商品も発表。「ガイアの夜明け」や「NHK WORLD」でその活動が取り上げられた。

2013 年鯖江との協業製品Sabae mimikaki [鯖江みみかき] がGOOD DESIGN AWARD2013 を受賞。
現在は各地方の職人さんとコラボした商品を展開中。
 

【日常再編集。再見!!】

連載も開始からちょうど2年間、24回目を迎える。そしていよいよ今回がラストなので、タイトルにも掲げられている「日常再編集」というコンセプトについて触れておきたい。それは、あなたの目の前にある日常風景・状況を整理し、そこから自らの関心を引き出し、その関心を表現(他者に伝えるための創造的な媒体―文章、映像、音楽、写真、ウェブ、イベント企画、プロジェクトetc…)へと編集しなおすこと。例えば、「会社」で"名刺交換する"、「家」で"お風呂に入る" 。これを「会社」で"お風呂に入る"、「家」で"名刺交換する" と並び替えた際に立ち上がるリアリティのズレ。私的な領域と考えられてきた家を他人に対して少しだけ開く、あるいは新たなコミュニティを生み出すムーブメントを企画化し、文章へと変換する。「住み開き」と名付けて提唱したこの活動は、まちや社会に対する個人のリアリティの持ち方を意識的に再編集していくことだった。例えば、個人の思い出が詰まった音楽にまつわるインタビューを通じて、子どもが親の"親以前の個人"としての成り立ちを知り、選曲された楽曲のコピーバンドを元にした学園祭を立ち上げること。高知県の小学校を舞台に行なわれた「コピーバンド・プレゼントバンド」という取り組みは、まるで音楽の"リミックス"のように、地域の様々な大人たちと子どもたちがぐちゃぐちゃと交わりながら、各々の普段の役割を超えたコミュニケーションが生まれていった。

僕が目指したいのは、あなたの日常生活の中に区切られている様々な役割 - 仕事、学業、家事、趣味etc… -、またその役割を演じるべく所属するコミュニティや分野、それらの在り方や各々の関係性を、"文化的妄想"をもってして再編集し、この世の中を、ちょっとヘンテコに、でもなんだか面白く、素敵に生きやすい状況に変えるということ。本連載で取り上げられた"発明品"の数々は、本当にほとんどバカバカしいものばかりだし、一体誰が何のためにそんなアイデアを実現させるのだ?というような突っ込みどころが満載だ。でも僕は、「まぁまぁ。ただの"ネタ"ですから」とは決して言いたくはない。大事なのは、その妄想を共有する過程で、放っておけばただただ流れていく日常生活に対する審美眼を高め、その日常には、現実社会の価値観をズラしていくための小ちゃな小ちゃな要素が数多溢れているという事実に気付くことだ。

ええっと……。などとかた~く御託を並べさせていただいたが、最後は謝辞で締めたいと思います。本連載の機会を与えてくださった『学芸カフェ』編集長の牧尾晴喜さん、いつもギリギリのスケジュールでの原稿お渡しでご迷惑をかけた編集スタッフの皆さん、本連載においてとてもとても重要な役割を果しきってくださった美術家・イラストレーターのイシワタマリさん、そして、何より毎回楽しみにしてくださった読者の方々に厚く御礼を申し上げたいです。ありがとうございます!この連載の内容も絶妙に踏まえられた書籍を現在執筆中ですので、どうぞ以後お見知りおきを。またどこかでお会いしましょう!


(イラスト:イシワタマリ)

アサダワタル
日常編集家/文筆と音楽とプロジェクト
1979年大阪生まれ。
様々な領域におけるコミュニティの常識をリミックス。
著書に「住み開き 家から始めるコミュニティ」(筑摩書房)等。ユニットSJQ(HEADZ)ドラム担当。
ウェブサイト

師走本 :『幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい』 黒谷知也

読ユニットTREESというものを立ち上げ、12月14日の公演に向けてせっせと稽古をしている。立ち上げたといえば格好いいけれど、やってみたいという思いだけで脚本を書いて、一緒にやってくれる人を見つけて、気がつけばわたしは主宰・脚本・演出・主演になっていた。
 初めてのことばかりだけど、一番苦労したのは演出だった。わたしが書いた脚本をどう演じてもらうかを役者さんに伝えなくてはいけないのに、全然さっぱりうまくいかない。
 小説なら、最終的に読者にどう伝わったかを100%コントロールしなくても成立する。ぎりぎりまで最善を尽くすけれど、最終的な出力はお任せで、「読んでよかった」と思わせられたらそれでいい。でも、演出家と役者の関係は違う。それぞれが思い思いにやってしまったら劇が成り立たなくなってしまう。それで、今まで使ってなかった(言葉の)筋肉を使わなくてはいけなくて、思うように動けない。ひたすらじたばたしていた(でも、役者さんがわたしの思いを時間かけてくみ取ってくれてちゃんと伝わったので、劇の出来の方はご安心を)。同じものを見て同じ言葉を聞いていても人の感じ方は全然違うのだ、という当たり前のことをこの年になって思い知った。
 これだけがんばっても伝わり方にずれが発生するのだから、ふだんのコミュニケーションはもっとずれてるはずだ。たとえ相手がわかったと言ったとしても、わたしが思っているのとは違うものを思い浮かべているのだろう。
 人と人の間には決定的な断絶がある。わたしたちは断絶を挟んで誰かと向き合い、一緒に笑ったり泣いたりしている。手を差し出しあって部分的につながることもあるけれど、相手が手をひっこめればもう断絶してしまう。


幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい
本体690円(税別)
出版社: 小学館2014年10月30日発行

 この漫画は短編集なのだけど、まず、最初にそういう断絶の存在を決定的な形で思い知らせてくれる。淡々と描いてあるが悲しくてやるせないエピソードで、最初読んだときわたしは、この作品はもう読み返さないだろうと思った。ほかの作品はあたたかかった。悲しかった。優しかった。見逃してしまいがちな日常のズレのようなものを、かけがえのないものとして描いていた。そして、最後まで読むと、また最初から読みたくなった。この最初の作品があるからこそ、ほかの作品がきらめくのだと思った。
 わたしたちは断絶しているという事実を、この漫画は深い愛情をもって静かに優しく教えてくれる。いつ断絶するか分からない人を好きになり、心を預けて、一緒に時間をつむいでいくことの恐ろしさと喜び。どれだけすれ違っても決して断絶しない家族というもの。事件が起こらなければ会話をすることもなかった誰かとの一瞬のつながり。まだこの世に断絶があることを知らない少年少女の純粋な愛情。
 断絶に向き合うと、日々が奇跡のように思えてくる。誰かと幸福な時間を共有し、誰かとつながり続けていく、今まで当たり前だと思っていたことが、この漫画を読み終わったとたん、静かにじわじわと輝き始める。

寒竹泉美(かんちくいずみ) HP
小説家
京都在住。小説の面白さを本を読まない人にも広めたいというコンセプトのもと、さまざまな活動を展開している。現在は自身が脚本・出演・演出をする朗読劇(2014年12月14日上演)の準備中。

削いで削いで抽象化 ~メビウス~

ぁ、私だ。今月は非常に図式的な作品である。キム・ギドクが例の早撮りによって、たった6日の撮影期間でクランクアップした『メビウス』は、各国の映画祭でこれもまた「例の」と言わざるをえないセンセーションを巻き起こした。表と裏がいつの間にかつながり、永遠に循環する構造を持つ不思議なメビウスの輪。ギドクがこの作品で考察の対象とする「巡り」は、人間の欲望であり、もっと突っ込めば、性器である。
 「女」と不倫関係にある「夫」に憤りを覚えた「妻」は、彼の性器を切断しようとするが、すんでのところで失敗。そのまま刃物の矛先を「息子」に向けた後、家を出て行く。「母」に性器を切り取られた「息子」を前に自責の念を禁じ得ない「父」は、彼の「快楽」をどう満たせばよいのか思案し、結果として「痛み」と向き合う。こうして対概念はその境を無くし、ひるがえっては結びつき、また離れていく。
 映画の中では男性器が複数切除され、男はそのシンボルを失って女性化し、本当にそんなことが可能なのかはわからないが、性器は別の身体へと移動される。近代以降、行政によって規定されてきた家族の形と、その中でうごめく人間の生々しい欲望の因果がグルグルと巡る様子に私たち観客はあっけにとられるばかりだ。
 今回であれば、家族3人が暮らす家が舞台のほとんどを占める。限定された空間と最小限の登場人物で物語を転がすことによって抽象性と普遍性が増すのはギドクお得意の手法だが、今作ではいくつか仕掛けがある。男性器を中心にした「下半身の家族論」だけあって、ナイフやピストルなど、性器のアイコンを織り込むのは序の口。これは撮影前から予定されていたことではないようだが、なんと、不倫相手の女と妻は、イ・ウヌの一人二役だ。おかげで「男たち」の欲望の対象としての「女」も抽象化され、欲望しだいで役回りが入れ替わるという話のテーマを彼女が体現している。
 しかし、何よりも刺激的なのは、無言劇というスタイルを採用したことだ。俳優たちはうめき叫びはするものの、言語は一度も発しない。はっきり言って不自然である。しかし、ギドクが目指したのは「リアル」ではなかろう。むしろ、寓話としての図式化をグイッと推し進めるために、彼は人間たちから言葉を奪い、人間の動物性をより露わにすることに成功した。削いで削いでの抽象化だ。
 メビウスの輪に終わりはない。ショッキングな映画ではあるが、人間そのものを凝視した末の余韻の中で、連綿と巡り巡ってきた欲望の渦に想いを馳せざるをえない怪作だった。


(c) 2013 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.


『メビウス』
原題:Moebius
12月6日(土)新宿シネマカリテ他 順次公開
関西はテアトル梅田、京都シネマ、元町映画館

監督・脚本・撮影・編集:キム・ギドク
製作:キム・スンモ
出演:チョ・ジェヒョン、ソ・ヨンジュ、イ・ウヌ
2013年/韓国/83分/カラー/シネマスコープ/R18+
配給:武蔵野エンタテインメント
提供:キングレコード



野村雅夫(のむら まさお)
ラジオDJ/翻訳家
ラジオやテレビでの音楽番組を担当する他、イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」代表を務め、小説や映画字幕の翻訳なども手がける。
FM802 (Ciao! MUSICA / Fri. 12:00-18:00)
Inter FM (Happy Hour! / Mon., Tue. 17:00-19:00)
YTV (音楽ノチカラ / Wed. Midnight)

南半球のクリスマスBBQ(タスマニア)

国籍他民族の集まるホームパーティの場合、ゲストに合わせての食材選びからはじまる。アレルギーや宗教、信条などを把握してメニュー構成を考えること。食材とサラダを用意したら、後は各々BBQを楽しんで。パブロアというメレンゲのケーキを食べるのがオーストラリア流。太陽の下のBBQパーティで真夏のメリークリスマス!

真子
スケッチ・ジャーナリスト
タスマニアと名古屋でデザインと建築を学ぶ。専門はグリーンアーキテクチャー、療養環境。国内外の町や森をスケッチブック片手に歩き、絵と言葉で記録している。
ウェブサイト

京都精華大学で、とんぼ玉づくりを体験するの巻

までいろいろなデザインの現場を体験してきましたが、今回は1年を締めくくるコラムということで、私の通っている京都精華大学でガラスを使った「ものづくり」を体験してきました!精華大学には芸術学部、デザイン学部、マンガ学部、ポピュラーカルチャー学部、人文学部の5つの学部があります。その中の芸術学部(造形学科立体造形コース)にお邪魔をし、とんぼ玉(穴の開いたガラス玉)づくりをさせていただきました。
 まずはつくり方のお手本を見ました。ガスバーナーのようなものでガラス棒を熱で溶かします。そしてガラス棒を熱しながら、離型剤の塗られた棒を同時に熱してきます。ある程度温まったら、離型剤の塗られた棒にガラスをくるくると巻き付けていきます。そうしたらあとは形成したり模様を付けたりして、冷ませば完成になります。
 いよいよ実際にとんぼ玉づくりに挑戦です。火を使っているので熱かったし怖かったのですが、指示通りにガラス棒を熱していきました。なかなかいい感じに溶かせていると思ったのもつかの間、熱している部分がポロッと取れ、バーナーの上に落ちてしまい、失敗。気を取り直してもう一度挑戦です。しかし今度はうまく熱することができたものの、離型剤を塗った棒に巻き付けるときにうまくガラスを巻き付けられず、離型剤が剥がれてしまいました。見ていたときとは違って、なかなか作業は思うように進みませんでした。(私が不器用なのが原因なのですが……笑。)結局、途中まで作業をしてもらってから、私は形成と飾りだけをしました。思ったような形にならず、少し長細い形、というかとっても不細工な形をしていますが、三度目の正直で、とんぼ玉ができあがりました!
 1年を通して色々なデザインの現場を体験させていただいて、今回はガラスを使ったとんぼ玉づくりを自分で体験しましたが、改めてものづくりの難しさ、楽しさを感じました。私の所属している人文学部にはこのような制作がありません。なので、今まで他学部がうらやましかったり、「デザインは楽しそう」なんて簡単に考えていましたが、やはり私にはペンを走らせたりパソコンをカタカタさせて文章を書いているのが一番向いているかなと思いました。


作業の様子を写したもの(形成するためにガラス棒を熱しているところ)


出来上がったもの(左:葉っぱ(割れてるけど)もつくりました
         右:三度目の正直で出来上がったとんぼ玉)
風戸紗帆(かざと さほ)
京都精華大学人文学部3年生(2014年4月に3年生になりました。)
文章を書くのが好き。柔道初段を持っている。ちなみに得意技は一本背負い。