アサダワタル 日常再編集のための発明ノート

地域に"ディズニー回収ボックス"を設置しよう!

寒竹泉美の月めくり本

五月本 :世界の夢の本屋さん 3

野村雅夫 フィルム探偵捜査手帳

苦味の奥に広がる爽やかさ ~チョコレートドーナツ~

真子 レシピでつながる世界の景色

デザイナーの彩色ピザ(メルボルン、オーストラリア)

風戸紗帆 建築素人のデザイン体験記

出版社を訪問するの巻

インタビュー 尾田恵 さん

(聞き手・進行 牧尾晴喜)

デルルームや店舗から個人邸、さらに医療分野との連携まで幅広い活躍で注目を集めているインテリアデコレーター、尾田恵さん。彼女に、最近のプロジェクトを中心に話をうかがった。

-------モデルルーム、店舗、住宅、さらには賃貸住宅のリノベーションなどさまざまなインテリアを手がけておられます。それぞれ違いがあると思いますが、たとえばモデルルームの場合にはどのようなことに気をつけておられますか?
尾田: これからのトレンドになっていくと予測されるライフスタイルやインテリアスタイルを早くキャッチして、さらに一歩先の新しいコンセプトを提案していくことです。その上で、そのモデルルームならではのオリジナル性を出せるようにしています。モデルルームのときはそういうコンセプトづくりが一番のポイントかなって思っています。

-------ABC『大改造!!劇的ビフォーアフター』では、2005年くらいから、最終のインテリアディスプレイとインテリアスタイリングをご担当されています。
尾田: こちらは住んでおられるお家だから、モデルルームとはまったく違いますね。モデルルームはモダンやスタイリッシュというようなインテリアイメージをベースに、どちらかというと非日常を演出します。でも、『ビフォーアフター』のような個人邸は日常の延長なんですね。だから、新しい家もその方の暮らしの延長線上にある。そのために、お施主様の写真や小物をお借りして飾ったりもしています。ご自身の愛着のあるものが飾りつけに使われている、ということで親近感も持っていただけますし、新しい生活の喜びも一層感じていただけると思うんです。実際、お宅の納屋で眠っていた火鉢を見つけて、植栽の鉢カバーに使わせて頂いた、ということもあるんですよ。
 「なんということでしょう」という有名なセリフで(笑)、リフォーム後の様子が紹介されます。リフォームの「アフター」のシーンでは、お施主様が新しい家をご覧になって、自然と涙が溢れている方も多いですよね。パッと見た瞬間に、「いいな」って感じていただくと同時に、新しいけれど「自分の家だ」という感覚が湧いてくるようなインテリアスタイリングをお手伝いするのが番組での私の役割かなと考えています。
 また飾りつけには私なりのこだわりもあります。例えば、お施主様が女性なら、年齢に関わらずちょっと若々しく、女性らしい感じの色合いや華のあるようなしつらえを意識しています。女性心というか、私だったら嬉しいかなと。 過去の放送では、足の具合が悪いお母様ために使いやすい住まいにリフォームする、というお話だったのですが、完成時には足の調子も良くなり相当お元気になられて、さらに将来への意欲もすごく湧いたっていうことがありました。リフォームって単に家がきれいになるだけじゃなくて、心も前向きに明るくなったりする面もありますし、そういうリフォームは最高かなって思います。

-------中国など、海外の物件も手がけておられますね。日本国内の物件と、どのような違いがありましたか?
尾田: 今は徐々に変わりつつあると思うんですけど、中国では基本的にスケルトン、つまり外側だけがあって、中はまったく何もない状態の家を、あとは買った人が好きにつくっていくというスタイルがあります。私が携わった案件であれば、螺旋階段の基礎はあるけど手すりはなし、間仕切り壁、トイレさえない内装ゼロの状態からプランをスタートしました。 日本とは全然違う環境の中で一からつくるというプロジェクトに関わり、設計・設備から照明や最後の小物・花まで、1年あまり中国に通ってつくり上げました。日本での物件以上に広範囲に携わったことや、言葉の壁など大変な面もありましたが、いろいろな方に助けていただいて、自分のなかでも新たな壁をなんとか超えることができました。インテリアコーディネートの仕事はここまでだとあまり決めつけないで、自分でできることにいろいろチャレンジしていこうと改めて感じました。

-------最近は、医療分野と協力して、「アクティブケア(R)」をテーマに「片頭痛にやさしい」インテリアの提案もされています。
尾田: 獨協医科大学・神経内科准教授 辰元宗人氏と一緒に進めています。数年前にご一緒したイベントで、辰元氏が片頭痛と光の関係についていろいろとお話してくださったんです。「僕たち医師が診察するのはわずかな時間。薬を使うなどの医療行為は、あくまで後の処方でしかない。でも、内装やインテリアプランに携わる人がこういった知識を持っていれば、もっと未然に予防ができるんじゃないか」ということをおっしゃったんです。私自身、それまでは片頭痛の症状と照明が密接に関わっているというような意識がなかったので、すごく衝撃をうけました。そういうインテリアとカラダの関係を知らずして、普通に「書斎だから昼白色、くつろぎのスペースには電球色」というようにセオリー通り、単純にすべての空間を同じプランですすめてはいけない。違う考え方もあるんじゃないかと思うようになりました。
 その後、マンションモデルルームのお話をいただいたとき、辰元氏にお声かけをし、一緒に片頭痛に配慮したモデルルームの提案をさせていただきました。「医療」「片頭痛」をテーマにした、新築マンション市場にとって今までにない内容だったので、正直、その当時の物件のご担当の方には「チャレンジャーですね!」って言われました(笑)。最終的にはコンセプトルームのようなものをつくるスペースをいただきました。
 これからのインテリア界には、今まであまりなかった、医学的見地からのバックデータや研究も必要だと考えています。また、そういう研究成果や導きだされたものが研究だけで終わるのはもったいないですし、私は現場の人間として、一般の消費者の方に具体的な暮らしのメリットとしてきちっと形にしていきたいです。ただデコレーターなので、「カラダに良いけどカッコ悪い」というのはいやですね(笑)。完成形のスタイルにもこだわりたいです。
 辰元氏と取り組む「アクティブケア(R)」の活動は、片頭痛に限らず、もっと幅広い意味でカラダに優しいとか、カラダの健康をサポートするとか、そういう健康を育む「器」としてのインテリアのためにいろいろな方向に広めていきたいと考えています。

-------子どもの頃について教えてください。
尾田: 子どもの頃は、どちらかと言えば、お人形遊びよりは外で元気に遊ぶのが好きというタイプだったかもしれません(笑)。2つ年下の弟とよく外を走り回っていました。でも、手芸みたいな細かいことも割と好きだったので、小学校のときにはマスコットを大量につくりためて友達にあげるといったこともしていました。

-------今後のビジョンについて教えてください。
尾田: インテリアでできることの可能性を広げていきたいです。縁あってインテリアの仕事をしているわけですが、私自身が得たインテリアのスキルで、できるだけいろんなジャンルの方のお役に立ちたいと考えています。インテリアの仕事はもっともっと広がる可能性があるんじゃないかと思いますし、これまであまりインテリアと接点がなかった分野にも積極的にかかわっていきたいです。たとえば賃貸住宅の分野も、インテリアの専門事務所とのかかわりはまだまだ少ない状況です。オーナー様と一緒に、空間価値を高めるためのプランを考え、実績に結び付けるこの仕事はとてもやりがいがありますし、これからも積極的に取り組んでいきたいです。物件は年々古くなりそのままでは価値が必ず下がります。それをインテリアの力(ちから)で、再び新たな価値を生み出す仕事。インテリアデコレーターの可能性が広がるお仕事だと考えています。
 他でも、福祉関係では昨年、特別養護老人ホームのプロジェクトにも関わらせていただきました。福祉施設のインテリアも、私にとって大きなテーマです。これから益々必要とされるこういった施設のインテリアも、より一層クオリティを高めていきたいですね。施設だけれど、ご家族が安心して委ねられるような器づくりが必要だと感じます。インテリアを進化させていっていろいろな世界とつなげていきたいです。



*「アクティブケア(R)」
(株)菜インテリアスタイリング・尾田恵氏と、獨協医科大学・神経内科准教授辰元宗人氏が取り組む活動の名称。アクティブケアとは、自分自身で健康を守り、さまざまな症状と上手に付き合う、前向きで積極性のある健康管理の考え方。



インテリアリノベーション 戸建住宅/2010年8月完成/東京南青山
 
ABC「大改造!!劇的ビフォーアフター」 ~行く手が険しい家~ 2013年1月放送2時間スペシャル/大分県
 
ABC「大改造!!劇的ビフォーアフター」 ~命がけで風呂を沸かす家~ 2013年2月放送2時間スペシャル/広島県
 
ゲストハウス インテリア 2009年2月完成/海外案件:中国
 
「Active Care(R)~医療とインテリア~」を取り入れた、獨協医科大学職員寮 第1期/2013年12月完成/栃木県
 
片頭痛に配慮したインテリアでまとめた室内/獨協医科大学職員寮
 
賃貸マンションリノベーション 2011年5月完成/大阪府
 
特別養護老人ホーム「バタフライヒル細田」 入所定員92名/2013年4月完成/東京都
 
尾田恵(おだ めぐみ)
インテリアデコレーター。
三菱地所株式会社、インテリアデザイン事務所勤務を経て、2007年株式会社菜インテリアスタイリングを設立。
住宅、店舗、モデルルーム、福祉施設のデザイン監修・コーディネートの他、ABC『大改造!!劇的ビフォーアフター』のインテリアスタイリングを担当するなど、さまざまなジャンルのインテリアに携わる。
また、インテリアコーディネーターによる提案型セレクトショップ『NINO(ニーノ)』も展開している。
最近は、医療とインテリアをテーマとした『Active Care (R)』の考えに基づく、新ジャンルのインテリアを提唱。獨協医科大学における共同研究にも携わり、新たなインテリアの可能性に向け、活動をすすめている。

株式会社菜インテリアスタイリング
 

地域に"ディズニー回収ボックス"を設置しよう!

どもができてからディズニーが家に侵入してくることが頓に多くなった。親戚から回ってきたベッド装着用オルゴールにはプラスチックのプーさんが舞う。個人通販で買った子供服にはバイヤーの方から「プレゼント!」とご丁寧に手紙付きでミッキー柄のハンカチがついてくる。先方に悪気がないことは重々承知しているが、買ってもないのにここまで侵入して来るプーさんやミッキーに対してどう対処すればいいのか。極力ディズニーを排除してきた我が家として、これはやんごとなき事態だ。周りに聞けば、この件で悩んでいる親はそこそこ多い。例えば10年くらい前に思想家の矢部史郎氏が雑誌『ユリイカ』でこんなことを言っていた。「僕が娘のために貰ってきたおさがりの三輪車がプーさんであるということに、この特集になってはじめて気が付いた。それでもうちの妻は、ディズニーのキャラクター商品を極力排除しているそうなんです。でもいくら排除しても一つや二つは侵入してきてしまう。(……)この繁殖力がまず恐ろしい。」(矢部史郎+山の手緑『愛と暴力の現代思想』(青土社))

 話変わって、我が家は滋賀県大津市の琵琶湖畔徒歩1分のところにあるのだが、琵琶湖でこの10年ほど重点課題になっているのが、外来種の駆除だ。ブラックバスやブルーギルなどの外来魚が湖本来の生態系を乱しに乱して繁殖している状況に、滋賀県は頭を悩ませている。全国のバス・フィッシャーたちに「ノーリリース」を呼びかけ、「外来魚回収ボックス」を設置。(夏場は匂うんだな…これが。) 釣りをしない僕にとってはこのボックスを利用することはなく、ずっと通り過ぎるだけの存在だったんだが、先日散歩中にふと繋がってしまった。「そうか、ディズニーも回収すればいいんだ」と。

 そこで本日の発明なんだけど、もう発明も何もとにかくあれですよ。地域に自治会単位で「ディズニー回収ボックス」を設置して、役員がまるでディズニーランドの「カストーディアル」(掃除している人たちね)のごとく、その箱もって白々しいパフォーマンスを絡めながら一軒一軒「不要なプーさんや、ミッキーはございませんか~!?」と訪ね歩く。そしてハンカチ、タオル、毛布、バスマットなどはさることながら、徐々にプーさん柄の電気ポットやドナルドが悪い顔してほくそ笑んでいるオーブンレンジまで回収されていくってわけ。そして、最後はなんとかキャラクターのイメージを留めないように解体し、クリエイティブなリユース方法を考えるワークショップを開催。外来魚回収ボックスのコストパフォーマンスが疑問視されている中で、今回は僕自身ほとんど現実味のない発明(じゃあこれまでの発明はどうだったんだ?と自己ツッコミ)を感情的に書いてしまっていることは、ひとえに子どもの「教育」や「文化」という問題とも絡む一大事だと思っているからだ。なお、本イラストは「ディズニーキャラクターの著作権」に重々、重々に配慮して、デフォルメ化したものになっていることを、最後にお断りさせていただきます。


(イラスト:イシワタマリ)

アサダワタル
日常編集家/文筆と音楽とプロジェクト
1979年大阪生まれ。
様々な領域におけるコミュニティの常識をリミックス。
著書に「住み開き 家から始めるコミュニティ」(筑摩書房)等。ユニットSJQ(HEADZ)ドラム担当。
ウェブサイト

五月本 :世界の夢の本屋さん 3

然ですが、本好きの人にとって、本屋がどれほど夢の世界であるかということをたとえてみたいと思います。ショーケースにおいしそうなケーキがずらりと並んでいるところを想像してみてください。はい、わくわくしてよだれが出てきますね。しかしそれだけではありません。そのケーキはどれもスプーンでひとくちすくって味見し放題! わあ、なんて幸せ!
……甘いものが苦手な人には伝わりにくいたとえかもしれませんね。ではもうひとつ。色とりどりの素敵な服がならんでいるショップを想像してください。そして、そこには、買え買えと笑顔でプレッシャーをかけてくる店員さんがいない。誰にも気兼ねすることなく、鏡の前ですべての服を試着し放題! ああ、幸せ!
 少しは伝わりましたでしょうか。これが本好きにとっての本屋です。
 そしてそんな本好き・本屋好きを、タイトルだけでノックアウトしてしまうのがこの本なのです。どーん。


世界の夢の本屋さん3
販売価格:4,104円 (税込) 著者:清水玲奈
エクスナレッジ(2013年11月発行)

 世界各国のこだわりの本屋さんを大きな写真で見ることができる、まさに夢の本。魔法のお城のような内装の本屋があったり、リスが走り回る半野外の本屋があったり、無数の本がトンネルを作るアングラな妖しい本屋があったりと、写真を見ているだけで幸せになる。
 だけどこの本は、ビジュアルだけではないのです。写真の横に添えてある店主や店員のインタビューが悶えるほどに面白い。名言だらけ、いや、名言しかないのです。
 魅力ある本屋の主人たちは、本とは何か、本屋とは何かということに関して、自分なりの哲学を持っている。本屋のたたずまいに惹かれるのは、きっとその哲学に魅了されるからなんだろう。

<本屋とは、言葉を通して人類の思索が伝わってくる場所。そして、人々が出会う場所でもあります。本屋は、現実と概念の幸せな結婚であり、そのなりたちから言って美しい空間なのです。>

<ここは店ではなく、「精神の状態」を表現した空間。>

<紙の本は、今も、未来も私たちのそばにあり、私たちの文化の一部であり続けるでしょう。紙の本を求める気持ちは、本物の絵が見たいというのと同じ欲求です。>

<今の時代、故郷を離れて何度も引っ越す人や、本棚のないアパートに暮らす人が増え、蔵書をたくさん持ち続けることは難しくなりました。ここは、そんな人たちのための「船のような本屋」です。不確かで困難な世界という海に、世界のどこかから流れ着いた本を載せて浮かんでいます。そして世界を漂流する人々にとっては、ここは「本棚のある家」に代わる避難ボートなのです。>

 この本を眺めていると、なぜかとても勇気づけられる。本を愛する人が世界各国にいる。ただそれだけで、嬉しくなってしまう。

<本を読む人は、お互いに会ったことがなくても同じ秘密結社に属しているようなものです。>

 まさにこれ。世界にいる秘密結社の仲間たちに会える、これはそんな一冊でした。

寒竹泉美(かんちくいずみ) HP
小説家
京都在住。
家族のきずなを描くWEB小説「エンジェルホリデー」毎日連載中。
デビュー作「月野さんのギター」の映画化企画が進行中。

苦味の奥に広がる爽やかさ ~チョコレートドーナツ~

ぁ、私だ。あなたは隣に住む人物の家庭環境を知っているだろうか。今月の『チョコレートドーナツ』では、主人公ルディーが戸口で家賃の督促を受けている最中、隣から鳴り響く音楽に業を煮やす場面がある。あまりにもうるさいので乗り込んでみると、そこにはダウン症の男の子マルコがぽつねんと佇んでいた。実は彼のシングルマザーが麻薬中毒で、大音量で音楽をかけては、麻薬の快楽に溺れ、時に息子をほっぽり出して男と出かけたり、逆に息子に外で時間を潰させたりしているのだという。お世辞にも褒められた環境ではない。ルディーは、マルコをいたわりかわいがり、母親の逮捕を機に、家族として共に暮らすことを決意するのだが、ここでのっぴきならない問題が持ち上がる。というのも、ルディーはゲイなのだ。ドラッグ・クイーンとして口パクの歌を披露しながら食い扶持を稼ぎ、折しもバーの客で弁護士の男性と同居を始めるところ。ゲイカップルがダウン症の男の子を保護して育てるわけだ。しかも、舞台は70年代のアメリカ。黒人差別に改善の兆しが見られても、ゲイの解放には程遠い時代だ。いつしか、物語はマルコをどこで保護するのが適切かを巡って行政と争う法廷劇へと展開していく。
 マルコの好物は、チョコレートドーナツとハッピーエンドのおとぎ話。どちらも劇中で何度か登場するのだが、その都度三人の置かれている状況が異なることで、映画全体の重要な句読点として機能している。そしてルディーの歌唱も、口パクからアドリブ、そしてオリジナルのブルーズへと次第に変化して洗練され、ストーリーをより雄弁で人間味あるものに仕立てるうまい仕掛けだ。
 それにしても、時代と洋の東西を問わず、社会にはマジョリティの影で理不尽な仕打ちに合う人が必ずいることを痛感させられた。生まれる時代も家庭環境も、そしてジェンダーも先天的な健康状態も、いつだって人間は選べない。それにも関わらず、存在を無視され、冷笑され、否定されてしまう。自分の気に入らなければ、糾弾して排除してしまえばいいという狭量な考えが幅をきかせ始めている今の日本で、多くの人に観られるべき作品だろう。苦くもほのかに爽やかな後味のドーナツを、どうぞ劇場で。

(c)2012 FAMLEEFILM, LLC

『チョコレートドーナツ』

全国順次上映中。
関西は、5/10からシネ・リーブル梅田、京都シネマ、5/24からシネ・リーブル神戸にて。

監督・脚本・製作:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ、フランシス・フィッシャー
エンディング曲:Metaphorical Blanket / Rufus Wainwright

原題:Any Day Now/2012年/アメリカ/97分/カラー
配給:ビターズ・エンド



野村雅夫(のむら まさお)
ラジオDJ/翻訳家
ラジオやテレビでの音楽番組を担当する他、イタリアの文化的お宝紹介グループ「京都ドーナッツクラブ」代表を務め、小説や映画字幕の翻訳なども手がける。
FM802 (Ciao! MUSICA / Fri. 12:00-18:00)
Inter FM (Happy Hour! / Mon., Tue. 17:00-19:00)
YTV (音楽ノチカラ / Wed. Midnight)

デザイナーの彩色ピザ(メルボルン、オーストラリア)

ーストラリアの若手デザイナーがチャンスを掴みに向かう街メルボルン。その一人ロバートはピザを作るときにも、絵を描くように色を置く。サヤエンドウとアボガド、ロケットと全て緑の食材が白いチーズ地にのる爽やかなピザ。ローストしたかぼちゃとフェタチーズ、ブロッコリーは赤いトマトソースによく映える。家ごはんピザも美しく。

真子
スケッチ・ジャーナリスト
タスマニアと名古屋でデザインと建築を学ぶ。専門はグリーンアーキテクチャー、療養環境。国内外の町や森をスケッチブック片手に歩き、絵と言葉で記録している。
ウェブサイト

出版社を訪問するの巻

回は出版社の見学に行ってきました!このコラムで訪問させてもらうのだから、もちろん学芸出版社さんです(笑)。当日は岩切さんという笑顔が素敵な女性の方に案内をしていただきました。学芸出版社では建築系の書籍が多く出版されています。普段私はそういった本を読んだことがなかったので、目にする全ての本が新鮮でした。
 出版社では企画から編集、さらには販促まで、本づくりに関わる一通りの作業を行います。1冊の本が完成するまでは、早くて1年近く、長いと約3年もかかったりするそうです。制作途中の本や、著者の方とやり取りをしている原稿も実際に見せていただきました。校正原稿は文字が印刷された分厚いプリントの束で、赤や青などのペンで校正されたあとがびっしり入っていて、とっても重そうでした。そして製本前になると、分厚いプリントから文字の書かれた大きなポスターみたいなもの(「白焼き」というもので、大判の紙の表裏両面に16ページ分ずつが印刷されています)になって、いよいよ本になる準備が整ったぞ!という感じでした。
 建物には、出版社の方々が机に向かってお仕事をされているスペースだけでなく、多くの本を保管するための倉庫や、完成した本を多くの人に知ってもらうためのイベント用の部屋などもありました。倉庫には3mを超える書棚が何列も並んでいて、360度本に囲まれて圧迫感を感じる程、本がびっしりと保管されていました。イベントスペースは非常にシンプルな感じで、とても開放感がありました。編集室の個人個人の作業スペースはきれいに仕切られていて、机のまわりには制作途中の校正原稿がブワーっと積み重なっていて、作業の大変さを感じました。また、出版後のイベントの運営やポップづくりなどもあり、本をつくるだけの仕事ではないということを知りました。
 出版業の現場を実際に見せてもらって、著者と密接に関わりながらつくり上げていく1冊の本には、私たち読者の想像以上の苦労が詰まっていることが分かりました。実は私は元々出版業界に興味があったのですが、今回の見学で出版業界への興味がより一層深まりました。でも、話を聞いているとウェブ関係の作業も多いようなので、機械音痴の私にとっては新たな不安要素も生まれてしまいました(笑)。



風戸紗帆(かざと さほ)
京都精華大学人文学部3年生(2014年4月に3年生になりました。)
文章を書くのが好き。柔道初段を持っている。ちなみに得意技は一本背負い。