インターネットと仕事

最近の私の仕事は全てインターネットを通したやり取りで完結している。手書き原稿を最後に見たのはもう10年以上も前だ。原稿の送信や関係者とのコミュニケーションに加えて、リサーチもインターネットがすることが多い。以前は図書館に行ったり詳しい知識を持っていそうな人に取材したりしていたものが、今はGoogleで探すと簡単に見つかったりする。しかもブログが普及してからはこぼれ話や噂レベルの話題まで拾えたりして、もうインターネットが無かったら採算の取れる仕事のやり方なんて無理!というレベルにまで達している(もしくは単価が昔並みに戻ってくれるなら、それはそれでいいけれど)。
最近は、日英米に住むスタッフが参加するプロジェクトに参加していて、稼働時間中は全員がメッセンジャーを立ち上げて連絡を取っている。バラバラな場所で仕事をしている上に、時差があるので稼働時間もまちまち。でも自宅でメッセンジャーを立ち上げたとたんになんだか体半分だけオフィスにいるような、不思議なバーチャル出社感覚があって面白い。職種によって向き不向きがあると思うけれど、翻訳のような個人作業は出勤しなくてもこの方が合理的かつ能率的、と感じる今日この頃。

山本真実
ローカリゼーション
大阪・南森町

クリエーター自主運営
ワークルーム208

「脱電網宣言」草案

我らが大阪ドーナッツクラブは、その生い立ちから現在まで、電脳と電網抜きには語ることができない。それほどに電網は我々の頼みの綱である。ここ10年の間に日本は一億総表現者と相成ったようで、誰も彼もが日記だの何だのと求めもされないのにせっせと情報を発信していて、その状況はさながら洪水のようだと訳知り顔で嘆いてみるも、この雑文を綴るのは電脳であり、公開されるのは電網上という自家撞着に陥るといった有様だ。そもそも我々のように何もないところからことを始めようとする団体にあっては、しかも、知られざる伊文化人をお宝アーティストと称して紹介しようなぞというどう転んでも金の巡りの悪そうな活動を行うには、この発達した電網環境を利用しないわけにもいくまい。実際のところ、主たる活動場所である大阪ローマ間のやり取りにも、サイドワークにしている実務翻訳や物品販売といった取り組みにも、電網は欠かせないどころか、そのほとんどが電網上にある。これでは活動の場はむしろヴァーチャル空間のみになりかねないわけで、如何にして現実空間で人々を巻き込めるかというのが目下の課題だ。脱電網を鍵言葉に、電網内活動に勤しんでいるといったところか。

海外映画祭の取材でも携帯電脳は
大活躍

野村雅夫
イタリアの文化紹介
大阪/ローマ

大阪ドーナッツクラブ

冬が来た朝 朝と夜 光に向かえ

私はどうしてもパソコンが好きになれない。インターネットに嫌悪感を拭いきれない。そんな私もRcafeのHPも持っているし、blogも書いているし、mixiも登録している。必要性も感じないわけではないし、切り離せばいいという問題でもない気がする。むしろ自分がその中にいながら考えないといけない気がして、だからこうやってコラムも書かせていただいている。
私は常に人と接している。できれば真ん中に気持ちを持って接したいと考えている。人と接するとどうしても自分自身に向き合うことになる。それはインターネットを通そうと同じことだ。その先に、その奥に生身の人間がいてなんぼだと思う。パソコン上ではそれがしばしば損なわれているような気がしてそんな時に私は嫌悪感を否めない。
Rcafeをしていく上でやはりパソコン上で情報を提供していくことは必要だと思う。だからこそ私がいるのだということを常に意識しながらさせながらインターネットを使いたいと思う。インターネットは私が情報を伝えるために使わせてもらっている手段に過ぎない。単純なことかもしれないし、当たり前だといわれるかもしれない。しかしこんなにもインターネットが普及している中、これが抜け落ちたことに気付かなくなる日がくるかもしれない。だから私はいつも気をつけなければと思う。ある日全てのパソコンの電源がつかなくなっても続いている関係を人と築いていきたい。

藤井 有美
カフェ
大阪・中崎町

R cafe

向こう側の向こう側

インターネットのお話なんですが、メガネヤを始めるまでは、インターネットどころか、パソコンも持っていませんでした。ひとりで、しかもマンションの一室でのお仕事となりましたので、パソコンぐらいは…と思い、パソコンを置いてインターネットを始めることになりました。
まずは、ひとりでは寂しいのでmixiに誘われて入ってみると、知り合いや友人が、そこにいるんだなぁという気分になって、連絡を取り合わないのに「生きている」ことを確認できるようになりました。次に友人の友人がお店にやってきたり、お店に興味を持ってくれる人がいました。ただmixi以外にメガネヤの存在がネット上に無かったのでネットでお店を検索することが出来るようにと、ブログ形式でお店紹介をすると、興味を持ってくれた方が来店してくれました。また、今度は最寄駅からメガネヤまでを歩いた画像をyoutubeに上げてくれた友人の画像を見てやってきてくれる人もいました。顔の見知った人との関係から見知らぬ人への広がりはゆっくりだけどちゃんとあって、そのゆっくりさが、メガネヤや僕にはちょうど良く面白いと思っています。

市川ヨウヘイ
古本屋
大阪・京橋

古本屋メガネヤ(地図)

我慢のインターネット

現在マラウイで仕事をしているわけだが、日本の事務所とのコミュニケーションはもっぱらインターネットに頼っている。はっきり言って、インターネットなしには仕事ができない。日々の質問のやり取り、データの送付、月々の報告書の送付も全てインターネット経由。
だが、マラウイのインターネット環境は、日本ほど快適じゃない。速度は遅い。正直、メールの送受信やウェブ閲覧を単独でしていると、そのあまりの遅さにイライラしてくる。写真なんかを送ろうと思うと、とんでもなく時間がかかる。そして、しょっちゅうサーバーがダウンする。今日が締め切り!という案件を抱えているときなど、本当にハラハラ、胃がキリキリしてくる。(ちなみに、このコラムもサーバーのダウンで何度も締め切りを破ってしまった。)
一般家庭にはまだインターネットがほとんど普及しておらず、そのため職場でインターネットに接続できないときは、ネットカフェに行くくらいしか選択肢がないのだが、えてしてこういうトラブルは、ネットカフェが閉まっている時間帯に起こるのだから、たちが悪い。

西口 三千恵
国際協力
ザンビア/徳島

NPO法人TICO

現場の声

ラジオ番組の制作とは、もちろん番組のコンセプトがあり、ターゲットとなるリスナーが求める情報や音楽を盛り込んで作り上げていくものである。その中で苦労することといえば、やはりネタ集めだ。近頃、インターネットを使ったネタ調べが出来る事で楽になったと思われがちだが、インターネットで発見できるのは、ネタの種に留まる。
例えば、ターゲットを主婦に絞った番組なら、主婦の生活リズムを想定する。一通りの家事を終え、買い物に出かけるであろう時間帯には、簡単な調理法を交えながら旬の食材を紹介し、それに因んだトークを繰り広げる。そして、車で買い物に行く人に向け、気分の良いドライビングナンバーをかける。しかし、主婦の求めている情報を入手する事は大変骨が折れる。充実した情報ネットワーク(井戸端会議?)やチラシなどで情報収集を行うことが多い彼女達。よりお得な情報や役立つ情報は、むしろインターネットより現場にあるのだ。
社会の情報化で、各店舗や雑誌社等との連携が求められる時代だからこそ、現場に足を運び、担当者の生の声を電波でつなげる。そこからラジオのネタは生まれる。今も昔も、そしてこれからも変わることはないだろう。

中村 謙太郎
インターネットラジオ
大阪・新世界

インターネットラジオ
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